Vol. 07

ヤマトザクラヒカリ(大和桜酒造)

桜前線は南から。

SNSやイベントで、いつもそうした焼酎の新しい楽しみ方を提案し、今、その小さな石数とは思えない程の存在感を放ち注目を集める鹿児島県いちき串木野市にある大和桜(やまとざくら)酒造。焼酎業界のみならず、多くのファンに「テッカン」の愛称で親しまれているのが、五代目杜氏の若松徹幹(わかまつてっかん)さんです。

取材当日の朝、テッカンさんは「実はちゃんと焼酎造ってるんですよ、この僕が(笑)」と、仕込みの最盛期にも関わらず、笑って編集部のメンバーを出迎えてくれました。

そんなテッカンさんが造る「ヤマトザクラヒカリ」は、どのように楽しむのがおすすめなのでしょうか。「ヤマトザクラヒカリ」の生い立ちとその楽しみ方について伺いました

「他の蔵なんてぜんぶ潰れればいい」と本気で思ってた

テッカンさんは、もともと東京で広告代理店に勤めていらっしゃって、Uターンして、今大和桜(やまとざくら)酒造で杜氏として焼酎を造られているそうですね。

若松

はい、そのときのことについては結構いろんなインタビューで話していて、本当に恥ずかしい話なんですが、蔵を継ぐため地元・鹿児島に帰ってくるときは「他の蔵を蹴落としてやる」「自分の蔵以外は全部潰れればいい」って思ってました。

今でこそ「シェア」の精神をとても大事にしていますが、11年前にUターンしてから5年くらいは、自分の蔵が売れるためのマーケティングばかり考えていました。実はこの「ヤマトザクラヒカリ」という焼酎は、そんな僕の「暗黒時代」とも言える時期に世に出した焼酎なんです。

たしかに、言われてみればヤマトザクラヒカリという 商品名がすごく尖ってますもんね(笑)。

若松

これも「なんでカタカナなんだろう?」と、消費者にとってフックとなる要素を作るために付けた名前です。

当時は清酒も含めて、カタカナのみの名前の焼酎ってなかったんですよね。vあと、ラベルが通常の長方形の形じゃなくて、焼酎の蔵元の人がよく付けている「前掛け」風のデザインになってるのもある意味”狙って”やったことです。今思うとすごく恥ずかしいですが…。

レギュラー酒の「大和桜」とも見た目の印象はだいぶ違いますよね。

若松

そうですね。うちには「大和桜」という代表銘柄があるのですが、「ヤマトザクラヒカリ」はその兄弟的なポジションの焼酎です。

「大和桜」と「ヤマトザクラヒカリ」はどちらも麹の原料に国産米を使っているのですが、「ヤマトザクラヒカリ」の場合は鹿児島県産のコシヒカリを使っているというのが大きな違い。原料の米も芋もオール鹿児島県産というローカル意識で造っています。

米は焼酎造りに必要な原料の一部にすぎないので、「米が違うだけじゃないのか?」と言われることもありますが、米の種類によってプロセスや掛ける時間は全然違うんです。また、実際に仕上がりの風味も差があるので、「大和桜」と「ヤマトザクラヒカリ」は兄弟とはいえ別物の焼酎だと思っています。

焼酎をマグカップで飲んでほしい

若松

最近僕が提案していることなんですけど、焼酎をマグカップで飲んでみてほしいんです。

え、焼酎をマグカップでですか?

若松

はい(笑)、しかもあえて「2軍」のマグカップで。マグカップって、たいていどの家にもたくさんあると思うんですけど、そのなかで普段使ってる「1軍」ってせいぜい1個か2個で、それ以外はもう放置されてたり、ペン立てになっちゃったりしてませんか?じゃあ、せっかくのマグカップなのにペン立てにしちゃうくらいなら、ひとつ焼酎のお湯割り用にコンバートしませんか?と。

たしかに、マグカップだってペン立てになるよりは焼酎のお湯割りでも入れてもらえるのが本望ですよね。

若松

そうそう。その結果、家とか街中でマグカップを見たときに、「おっ、そういえば……」と焼酎のお湯割りを想起してもらう、その一助になればいいなぁと思ってます。

だから、「ヤマトザクラヒカリ」も「2軍」として埋もれてるマグカップで飲んでもらえたら嬉しいなと。あと、「ヤマトザクラヒカリ」は基本的にはお湯割りで飲むのをオススメしているんですけど、マグカップは、お湯割りを飲むのにも適しています。マグカップで焼酎のお湯割りを飲むのははじめてという人が多いと思うんですが、ぜひやってみてもらいたいですね。

理想のシチュエーションは、「日曜日の夜」

若松

以前、八千代伝(やちよでん)酒造の八木くんという杜氏の方が僕に「焼酎の原酒(35度)が売りづらい」と相談してくれたことがありました。そのとき僕も一緒に考えてみたんですけど、最終的に「平日、しかも月曜の夜に楽しむお酒として売り出したらどう?」として提案してみたんです。

多くのサラリーマンあるあるだと思うんですが、平日の帰宅後に夜遅くまでダラダラとリビングでビールを飲んでると、奥さんが出てきて「おかえり」も言われず、「まだ飲んでるの? 明日早いんじゃないの?」小言を言われたりするんですよね(笑)。

で、酔って気持ちよくなる前に、仕方なくいそいそと寝室に向かう……、みたいな。でも、35度の原酒だとちょびちょび飲むだけですぐに酔って気持ちよくなれるんです。

そしてそのときの理想の焼酎のアテは、スポーツ情報番組。例えばサッカーで、世界で活躍する同い年か、少し下くらいの年齢の選手のプレーを観て「あぁ、みんな頑張ってんなぁ…。おれも頑張ろう」と。あの15分間で気持ちよく酔えて明日の活力にもなる、そういう焼酎の飲み方もあると思うんです

原酒は月曜の夜がおすすめ、と……。じゃあ、「ヤマトザクラヒカリ」はどんなシチュエーションがいいんでしょう?

若松

うーん、「日曜日」ですかね。「ヤマトザクラヒカリ」のラベルのデザインにも使っている「前掛け」って、あれは付けた人は分かると思うんですけど、すごく気合が入るんですよね。また締め直すことでリセットも出来るし。

僕も普段仕込みのときなどは巻いてますが、キュッと気分が締まるような感覚があるんです。だから、「明日から頑張ろう」と前掛けを締め直すかのように、前向きになれるように、という意味も込めて「ヤマトザクラヒカリ」は前掛け風のデザインにしてみました。

土日に目いっぱい遊んだり家族サービスして疲れて帰ってきた人たちに、「明日もがん ばろう」と思ってもら えるといいなと。 『情熱大陸』とか観な がらね(笑)。そう、 僕は焼酎の「こだわり」 だけでなく、「つながり」 や「かかわり」を提案 したいんです。

蔵の情報

【会社名】 大和桜酒造株式会社
【住所】 〒899-2101 鹿児島県いちき串木野市湊町3丁目125
【設立】 嘉永年間(1848~1854年)
【主要銘柄】 本格焼酎「大和桜」「大和桜 紅芋」「ヤマトザクラヒカリ」など
【Webサイト】 http://yamatozakura.com/

 

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